腰 痛 に つ い て

 整形外科の患者さんで最も多いのが腰痛の患者さんです。
 腰痛の原因はいろいろあり、10歳台から高齢者まであらゆる年代に見られます。若い世代では外傷やスポーツ障害が主ですが、年齢とともに椎間板の変性による腰椎の病気が多くなり、骨も弱くなり、しだいに変形などがでてきます。
 若い人では外傷、脊椎分離症、椎間板ヘルニア、中年になると椎間板症、椎間板ヘルニア、腰椎すべり症、高齢になると変形性脊椎症、腰部脊椎管狭窄症、骨粗しょう症による脊椎圧迫骨折などがあります。

診断をするために腰痛のタイプがどのようなものかが役に立ちます。
1) 突然の痛みか、いつのまにか始まった慢性の痛みか
2) 動いた時に痛くなる(運動時痛)か、寝ていても痛い(安静時痛)か
3) 腰だけの痛みか、別の所(尻や足)に響くのか
足の痛みやしびれにも注意
 下半身の神経は腰椎の部分より出ていますので、「痛み」、「しびれ」や「感覚が鈍い」などや、「歩くときに足がもたつく」「長い時間歩けない」「長い時間立っていられない」等の症状もその場所の障害で発生することがあります。
 これらのことを参考に診察をいたしますので、診察のときには詳しく伝えてください。

次に代表的な腰痛を説明いたします。

急性腰痛(ぎっくり腰)
 重いものを持ったり、かがんだり、体を捻った時にほんのちょっとしたきっかけで突然激痛がでます。椎間関節の捻挫、靱帯の損傷や腰背筋の肉離れが主な原因ですが、ほとんどの方は安静にすれば痛みが楽になります。中には他の原因(結石、腹部大動脈瘤、すい臓の病気)で痛みが出ることもありますので「どんな姿勢をとっても楽にならない」「熱が出る」「冷や汗が出る」ようなときはなるべく早く診察をうけてください。
 ぎっくり腰などで腰痛が起こった時には、痛みが強い時に無理に病院に診察に来ないで、膝を曲げて横向きに寝たりして楽な姿勢で安静を保ちます。安静は2〜3日にとどめ、動ける範囲内で日常の生活に徐々に戻していきます。他に重大な病気がなければ、内服薬や外用薬(シップ)を使用します。コルセットで腰を固定すると楽になります。痛みが強く続く時には局所に注射をすることもあります。
 痛みがなくなれば、再発を防ぐために腹筋や背筋の強化の体操をします。

腰椎症(変形性腰椎症、腰部椎間関節症、腰部椎間板症)
 体の中心を支えるために背骨と背骨のクッションの役割をもつ椎間板や背骨と背骨を結びつける椎間関節には大きな負担がかかります。そのためスポーツや肉体労働を続けている人は早期から、またそうでない人でも老化とともに腰の椎間板の水分が無くなり椎間板の働きが悪くなり変形します。クッションが悪くなると椎間関節に負担がかかり関節がすり減ってきます。関節の変形や椎体の変形がおこりそのため余分な骨が出来て神経を圧迫します。
 症状としては朝起きて動き始めるとき、長時間立っている時、長時間動いている時に腰痛が出て慢性化します。そのために姿勢が悪くなることもあります。
 薬物療法、神経ブロック、理学療法、牽引療法をしますが、杖を使うことにより腰の負担が少なくなり痛みが軽くなります。体操療法も効果があります。

腰椎椎間板ヘルニア
 椎間板の弾力性がなくなりその内容物(髄核)がとび出して神経を圧迫します。強い腰痛と下肢痛があり感覚がにぶくなり足の力が無くなることもあります。坐骨神経の根元を圧迫すると坐骨神経痛が出ますし、時には排尿排便に障害が出ることがあります。診察のあとMRI検査によって確実な診断がつきます。
 ほとんどの方はは安静やブロック療法、薬物療法で回復しますが、しびれが強く筋力が改善しない時には手術をする場合もあります。

腰部脊椎管狭窄症
 背骨の後ろ側には脊髄や神経が通る管があります。腰部脊椎症や腰椎すべり症があると脊椎管が狭くなります。特徴的な症状はしばらく歩いたり(立っていたり)すると脚が痛くなったりしびれて来て、つづけて歩くこと(立っていること)ができなくなります。すこし座ったり、前かがみになるとまた歩ける(立っていられる)ようになります。
 薬物療法や神経ブロック、コルセット、理学療法等でほとんどの方は治りますが、症状が改善しない時には手術療法を考えます。

その他腰痛の原因としては、骨粗鬆症による圧迫骨折、細菌性脊椎炎、転移性脊椎腫瘍等もあります。ぜひ腰痛でお困りの方は整形外科に御相談下さい。