地域包括ケアシステムについて

『健康寿命と少子高齢化社会での回復期と生活期リハビリテーションの重要性について』
塩原温泉病院
森山俊男

  日本は世界をリードする少子高齢化を背景として、2025年を目標に効果的に高齢者を支える在宅医療、介護、福祉を包括した町作りとしての地域包括ケアシステムの整備が求められています。健康寿命を延長する為に、疾患に罹患せず、後遺障害を残さないように、予防医学的に特定検診や生活習慣病治療などが行われており今後とも重要な取り組みとして継続されるとおもいます。次の段階として、脳卒中(廃用症候群を含む)や運動器疾患で障害を持った患者さんの生活の質の向上という視点で健康寿命を延長させる取り組みも求められるとおもいます。障害を持った方々の生活機能や生活の質を支える効果的な方法やシステムについて、現状では具体的な検討がなされていないように思います。
  今後求められる回復期や生活期(維持期)のリハビリテーションの役割について考えてみます。急性期治療の発展により救命率が向上しますが、一方で急速な高齢化が手伝って、障害や生活機能が低下した高齢の患者さんの増加も予想されます。そこで、回復期リハビリテーションにより障害を軽減し生活機能を向上させ、スムーズな在宅医療・介護導入への支援するリハビリ機能が今迄以上に強化される必要があると考えます。さらに患者さんが自宅退院後、家族の介護負担を軽減させ、将来的に地域包括ケアシステムを見据えた地域コミュニティーでの住民相互の支え合い(互助)の負担を軽減する目的でも回復期リハビリテーションは重要な役割を担うと考えます。また、在宅医療を継続中の患者さんの生活の質の維持向上、生活機能の改善や、廃用症候群から寝たきりへの進行の防止の為に、医療による生活期(維持期)・回復期リハビリテーションを必要時に充分に受けられるような介護と医療の有機的な連携システム整備が医療費節減、人的資源の効果的運用の意味からも重要性を増すと考えられます。
  塩原温泉病院では高齢者の健康を総合的に支える視点を重要視した取り組みとして、温泉利用のリハビリテーションや、温泉の医学的利用に特徴があります。
  専門化が高度に進む現在の急性期医療が発展すればする程、一方で、塩原温泉病院の特徴でもある、「全人的」に高齢の障害者を「支える」視野を持ったリハビリテーション医療や温泉医療の方法が、温泉好きの国民性も手伝って、急増する高齢者対策として効果的な役割を担うと考えています。塩原温泉病院は、地域医療さらに地域包括ケアシステムのインフラ作りといった「地域を診る」役割を担えるように研鑽を積んで参りたいとおもいます。